金融商品取引業

Financial Instruments Business
HOME / 金融商品取引業 / 投資助言・代理業

投資助言・代理業

投資助言・代理業とは

平成19年まで存在した投資顧問業法に基づく投資顧問業(助言)が、
金融商品取引法制定時に金融商品取引業のうちの投資助言・代理業と位置付けられたことにより発足した、
金融商品取引業の登録種別です。

当社では、投資助言・代理業に関する業務上のご相談をお受けしています。
そして、新規に参入を検討している依頼者様にお話を伺うと、
投資助言・代理業に登録するだけでは、そもそも希望する事業が不可能な場合もあれば、
逆に投資助言・代理業の登録自体が不要なケースもあります。

個々の事案で、投資助言・代理業の登録の要否に関して具体的に検討するとその結論は本当に色々です。
また、当局に相談しながら登録申請の手続きを進めるうちに、
途中の見直しでスキームが大きく変わることもよくあります。
投資助言・代理業の定義が、わかりやすいようでわかりにくいからです。

投資助言・代理業の定義

投資助言・代理業への該当性を検討するにあたって、「投資助言・代理業」の範囲を正確に理解する必要があります。投資助言・代理業は、「投資助言業務」(11号業務)と「投資顧問契約又は投資一任契約の締結の代理又は媒介業務」(13号業務)から成り立っています。

投資助言業務は、顧客との間で投資顧問契約を締結して、顧客に投資助言を提供する業務のことで、投資助言とは、有価証券の価値等や金融商品の価値等の分析に基づく投資判断を提供することです。なお、投資顧問契約は、有償性が要件になっていますので、投資顧問料の収受がない無料メルマガ、無料ブログ等は投資助言業務に該当せず、金融商品取引業登録を必要としません。

ただし、証券会社やFX業者等の第一種金融商品取引業者が行う投資助言型自動売買サービスは、直接的に顧客から投資顧問料を取らなくとも、顧客が当該取引を行うことにより、実質的にスプレッド収益や売買手数料の形で金融商品取引業者が収益収受することができます。そのため、実務上、第一種金融商品取引業者に加えて投資助言・代理業の変更登録を求められることがあります。

また、投資顧問契約又は投資一任契約の締結の代理又は媒介業務とは、顧客が他社との間で投資顧問契約や投資一任契約(ファントラ・特金・ラップ等の投資顧問業務)を締結する際に、契約の間に入って代理したり媒介(契約を成立させようと尽力する行為)をする業務です。「他の投資顧問業者の代理店業務」と考えるとわかりやすいでしょう。

なお、これはあくまで投資一任契約と投資顧問契約の代理店ですので、集団投資スキーム型ファンドや投資信託等の金融商品の販売の代理店業務(募集又は私募の取扱い)は、投資助言・代理業では行うことはできません。

※金融商品取引法第2条第8項

  • 十一 当事者の一方が相手方に対して次に掲げるものに関し、口頭、文書(新聞、雑誌、書籍その他不特定多数の者に販売することを目的として発行されるもので、不特定多数の者により随時に購入可能なものを除く。)その他の方法により助言を行うことを約し、相手方がそれに対し報酬を支払うことを約する契約(以下「投資顧問契約」という。)を締結し、当該投資顧問契約に基づき、助言を行うこと。
    1. イ 有価証券の価値等(有価証券の価値、有価証券関連オプション(金融商品市場において金融商品市場を開設する者の定める基準及び方法に従い行う第二十八条第八項第三号ハに掲げる取引に係る権利、外国金融商品市場において行う取引であつて同号ハに掲げる取引と類似の取引に係る権利又は金融商品市場及び外国金融商品市場によらないで行う同項第四号ハ若しくはニに掲げる取引に係る権利をいう。)の対価の額又は有価証券指標(有価証券の価格若しくは利率その他これに準ずるものとして内閣府令で定めるもの又はこれらに基づいて算出した数値をいう。)の動向をいう。)
    2. ロ 金融商品の価値等(金融商品(第二十四項第三号の三に掲げるものにあつては、金融商品取引所に上場されているものに限る。)の価値、オプションの対価の額又は金融指標(同号に掲げる金融商品に係るものにあつては、金融商品取引所に上場されているものに限る。)の動向をいう。以下同じ。)の分析に基づく投資判断(投資の対象となる有価証券の種類、銘柄、数及び価格並びに売買の別、方法及び時期についての判断又は行うべきデリバティブ取引の内容及び時期についての判断をいう。以下同じ。)
  • 十三 投資顧問契約又は投資一任契約の締結の代理又は媒介

実務上、おそらく登録の9割以上は投資助言業務に関してなされていますので、以下は主に投資助言業務に関して解説していきます。概略的な結論から言うと、当然ながら有価証券の価値等や金融商品の価値等の分析に基づく投資判断を有料提供することが、投資助言・代理業の投資助言業務となります。そして、定義に当てはまらないものは、投資助言・代理業ではありません。

新聞、雑誌、書籍等の場合、
その他登録義務の除外

投資助言・代理業の登録義務の例外として、新聞、雑誌、書籍等の形態で不特定多数の者により随時に購入可能な形になっていれば、投資助言・代理業の登録は不要と定められています。

実務上、この例外がどこまで適用されるかは、頻繁に問題になります。かなり以前には、「有料メールマガジン」は、新聞、雑誌、書籍等に類するものではないのかという議論がありました。しかし、現在では一般に、読者登録を要する有料メールマガジンの形態であれば、投資助言・代理業者の登録を要するのが実務になっています。

新しいサービスへの規制適用

SNS・オンラインサロン等

現在、Facebook、discord、note等のサービスを利用して、SNS性の強い投資に関するオンラインサロンやこれに準ずる業態を展開する事業者が増えています。

こういった方式でも、株式等をアドバイス対象として、有価証券の価値等(値動きの動向)に言及する場合には投資助言・代理業になります。また、FXやバイナリーオプション等のデリバティブ取引の場合には、売買ポイントにおける投資判断(売買等)を具体的にアドバイスする場合には同じく投資助言・代理業になります。

オンラインサロンでは、サロンの運営者が自ら投資を行っており、その実績に基づいてアドバイスするという形態のサービスも多いと思います。

しかしながら、投資助言・代理業に登録した場合には、金融商品取引業者の役職員として投機的利益の追求を目的として有価証券の売買その他の取引等を行うことが禁止されます。そのため、株式の短期売買や、FXをはじめとするデリバティブ取引を行うことに問題が出てきますので注意が必要です。

具体的なビジネスで、どのような登録を要するかは、なかなか判断がつかないと思います。事業者様にとっては、何の登録を要するのか、そもそも登録を要さないかは極めて重要な問題です。当社は金融商品取引業の専門事務所として長年にわたる数多くの実績があり、こうした事例での登録の必要性に関して適切なアドバイスが可能です。

contact

お問い合わせ

初回の相談は無料ですので
お気軽にご相談ください。

ガバナンス体制支援・コンプライアンスの
お悩みに可能な限りお応えいたします。
まずはお気軽にぜひ一度
お問い合わせください。

  1. TEL.03-5544-8810 平日 9:30〜18:00